
1979年、ダナーは靴に採用する事が難しいと言われていた
防水透湿素材のゴアテックス ファブリクスを世界で初めて採用する事に成功、
世界初のゴアテックス ファブリクス採用ブーツをゴア社との共同開発により誕生させた。
その靴はダナーライトと名付けられ、現在でも防水ブーツの代名詞となっている。
誕生した背景にはダナーがゴアテックス ファブリクスを選んだ理由、
またダナーとゴアテックス ファブリクスの親和性が存在する。

現在、数多く存在する防水素材。その中でも最も有名なのがゴアテックス プロダクトであろう。
アパレル、フットウェアはもちろんグローブやハットなど幅広い製品が展開されるが、
そのコアとなるのはゴアテックス メンブレンというフッ素樹脂の薄い皮膜だ。
ゴア社はこのフッ素樹脂を、工業製品や医療製品などにも応用して素材を研究開発している。
その技術力により、世界中の多くの消費者から信頼を得ている。
単純に「防水」と言うが、ゴアテックス プロダクトは「防水透湿」を特徴としている。
微細な孔を無数に持つゴアテックス メンブレン(膜)が、水は通さずに水蒸気は通過させるということである。
その孔の大きさは、0.2ミクロン。水蒸気の約700倍、水滴の20,000分の1と言われている。

クオリティーを確かなものにするために、ゴアテックス プロダクトは厳格な基準を設けている。
それはゴアテックス ファブリクス以外の細かなパーツについても基準が設けられており、
実際の着用を想定したいくつものテストが義務付けられている。
これはゴアテックス プロダクトの大きな特徴と言える。
基準テストの例をいくつか挙げる。一つはウェットフレックステスト。
足を模したマシンに靴を履かせ水に浸した状態で屈曲を繰り返し、歩行動作による水の侵入がないかを確認する。
セントリフューガルテストは靴の中に水を入れ、高速回転させる。
水圧をかけることにより水漏れの有無を確認するテストとなっている。
防水にまつわることだけではなく透湿性もテストを行う。
靴の内部に体温程度の温めたお湯を入れ、履き口を密閉。水蒸気として靴の外に放出されるかをテストする。
その他、摩耗試験、漏水試験等、もちろんフィールドテストも行われる。
これに加え、ポートランドにあるダナーの工場は独自で防水透湿性に関してテストを実施している。

ダナーはこれらのゴアテックス ファブリクスの特徴を生かし、今までにない快適な登山靴を作り出す。
そこで生まれたのがダナーライトに代表される名品の数々だ。ダナー式ステッチダウン製法と言われる製法を採用。
ステッチダウン製法は軽量で足なじみの良い製法ではあるが、アッパーに直接縫い糸が掛かってしまうため防水性に難がある。
それをゴアテックス ファブリクスを使用することで当時としては軽量でありながら、防水性に富むブーツの開発に成功した。
この製法はアッパーが外側に折り出されていることでアッパー内部に侵入した水分も排水されやすくなる効果も期待される。
また、代表商品であるダナーライト等はアッパーとゴアテックス ブーティーを、
足首の一部分のみで縫い合わせる事で(フリーハンギングインナーブーティー)防水性と透湿性を高めている。

快適な登山靴を追い求めていたダナーにとって、ゴアテックス ファブリクスは理想的な素材であった。
そしてダナーはダナー式ステッチダウン製法、フリーハンギングインナーブーティーの採用により、
ゴアテックス ファブリクスの特徴を活かすことに成功した。
その後もダナーは、現在に至るまで多くのゴアテックス プロダクトを生み出している。