DANNER PORTLAND SELECT

Laila Gohar
Studio Laila Gohar の創設者兼フードデザイナー

ロケーション
ニューヨーク、マンハッタン

体験、デザイン、感情、交流、そして儀式。

カジュアルなロケーションでのテーラーメイドの食経験をデザインしている。

エジプトのカイロ出身、ライラ・ゴハーは食べ物に惹かれ続けてきた。幼少期に大家族と共に過ごした夕食の記憶を未だに大事にしている。ニューヨークでフードデザイナーになり、“カジュアルなロケーションでのテーラーメイドの食経験をデザインしている。”というスタジオライラゴハーを立ち上げたのも、幼少期の記憶が影響している。

どんな食経験かと聞くと、ゴハーは“幾重もの感覚や感触を使って楽しめる食経験を提供する社交会”を作り、本来あるべき交流の姿を探求していると答えた。彼女はアート、デザインやファッションイベントで既存の食文化や作法とは一線を画した食べ物でのインスタレーションやポップアップショップを企画してきた。生活の上で最重要ともいえる要素、“食”を使って人々に純粋な食体験をデザイン/提供している。ロレアル、バーニーズ、ワービーパーカー、ティファニー、アーバンアウトフィッターズや数々のダウンタウンの著名ギャラリーから依頼されることから、彼女の仕事が人々の核心に触れたことは明白だ。

ゴハーが探究しているのは食べ物だけではなく、“体験、デザイン、感情、交流、儀式”にも注目している。最近ゴハーは映画『ティファニーで朝食を』を彼女流に解釈し、ティファニーのフラッグシップストアに巨大なマシュマロの彫刻を作りあげ、来訪者に食べるよう勧めていた。この作品では強欲と無垢というテーマを来訪者に投げかけていた。

ゴハーの求めるような今までにない食体験を実現するには地元の食材が欠かせないという。「ニューヨーク近郊の農家と協業して地元のコミュニティーや環境を大切にしている。」と語った。「より一層、食べるものがどこから来たのか、どこで手に入れたのかを気にする人が増えてきて、人々の食の出処についての興味が深まっていると思う。」

食べることのみならず、慎重に物を選ぶ姿勢はゴハーのライフスタイルに浸透している。「色々なタイミングで同じ事を考えている。食べ物だけでなく、全てにおいて地元のものを探して消費するっていうことに自分の人生観と共鳴するなにかを感じる。」

文字通り、自らの手を使い仕事をしている彼女には真のクラフツマンを見た。「手を動かして仕事をするのは好き」、そして「手を動かして集中していると生きているって実感する。」と語った。何からインスピレーションを受けているのか聞くと「全て。目だけではなく感じて見ることを覚えれば自分を取り巻く全てがインスピレーションになる。」日々の生活に意味を見出す行為がスタジオライラゴハーの核心にあった。

ゴハーはニューヨークで素晴らしい生活を手にしたが、なるべく外に出るようにしている。「一歩さがって物事を考える為にも外に出るようにしている。自分の見方や考え方が整う。」ゴハーにとってニューヨークの気候になじむには時間がかかった。「冬は嫌い」と語った。「わたしは暑いのが好きで夏の人。エジプト育ちだから。」寒さが苦手なのにも関わらず、“レイヤードしてウールの服を着て、ステキなソックスを履く”ことで彼女流の対処法を見つけた。ディテールに癒しを見つけるこのスタンスが彼女らしい。